【活動報告】ドイツC7からの引き継ぎ式を開催

2022年のC7を担ったドイツC7関係者3名が来日し、日本C7に向けた引き継ぎを行いました。

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2022年11月、ドイツからC7関係者3名が来日し、来年の日本C7に向けた引き継ぎを行いました。

来日したメンバーは次の3名です。

・アンケ・クラート(VENRO、ドイツC7事務局)
・ウルフガング・オベンランド(ドイツ環境・開発NGOフォーラム、ドイツC7事務局)
・デレージェ・アレマイェフ(公正な税に関するグローバル連盟、ドイツC7運営委員)

11月21日にG7市民社会コアリション2023幹事と準備会合を行ったのち、SDGs市民社会ネットワーク開発ユニットの方々と、オンラインで意見交換を行いました。C7の構造や議題について、さらに理解を深める機会となりました。

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同日、外務省 国際協力局 民間援助連携室を訪問し、松田俊夫室長と面会・意見交換を行いました。ドイツC7の成果と課題が共有されたとともに、政府とNGOの連携について、日本・ドイツ双方の事例が紹介されました。

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11月24日には、C7公式引き継ぎ式をハイブリッド形式で開催しました(協力:世界銀行)。他のエンゲージメントグループを含め80名以上の方々にご参加いただき、G7エルマウサミットの振り返りやG7広島サミットへの期待、市民社会の役割について議論を行いました。日本C7の準備状況も共有し、ドイツC7のコミュニケ(政策提言書)をドイツから日本へ引き継ぎました。

パネルディスカッションおよび質疑応答で出されたコメントをいくつか紹介します。

  • エルマウサミットでは税・財政の課題についてはあまり重要視されておらず、市民社会としてもう少し強く提言をすべきであった、ジェンダー平等や教育などの格差が深刻化している、グローバルサウス(南側)諸国からの声を無視しており、G7は問題の解決策ではなく原因になっている。
  • 「国連の矮小化」を懸念している。富裕国で占められるG7自体の正当性を問うべきであり、名実ともに多国間主義を復権させるべき。途上国を助けるのではなく、「開発の権利」を認めるべき。国際課税に関しては、富裕国がOECD-DACで自分たちの都合の良いようにルールを決めている。アフリカ諸国をはじめグローバルサウスからは「国際的に解決すべき」と呼びかけている。
  • 気候変動の観点からエネルギー危機への対処が必要。温室効果ガスに占める割合はエネルギー起源が最も大きい。他方、安価なエネルギーの供給とアクセスも課題。エネルギー転換には「公正な移行」を具体的に進めることが重要。二酸化炭素だけではなく、メタンやフロンなどの他の温室効果ガス削減も必要。廃棄物管理や持続可能な農業を進めること。「被害と損失」基金の議論に加えて、適応策の推進も必要。既存の格差を是正し、被害を未然に防ぐための早期警戒システムの導入を。
  • デジタル技術の進展によって民主主義への脅威が広がっており、偽情報やフェイクニュースをどのように防ぐか。AIやアルゴリズムによる個々人への影響について市民社会でも議論を進めるべき。

引継ぎ式では、来年のG7首脳会合開催地である広島や、全国各地の閣僚会合開催地の市民社会、ならびに他のエンゲージメントグループからも、C7の日本開催に向けた力強いメッセージをいただきましたので紹介します。

  • ANT-Hiroshimaの渡部朋子理事長から、核戦争の脅威が高まる世界情勢の中でG7サミットが広島で開催されることの意義や、世界中の市民が力を合わせて「核なき世界」を実現すべきであること、そのために来年のC7日本では、「核なき世界と平和」というワーキンググループを新設することが重要であるとのお話がありました。
  • みえNPOネットワークセンターの新海洋子様からは、2016年のG7伊勢志摩サミットに向け、東海地域をはじめとする日本全国の市民社会組織が行った活動について説明がありました。日頃は主として地域の課題に取り組む東海地域の市民社会組織が分野横断的に連携し、グローバルな課題に対して政策提言を行うことを通じ、地域の市民社会の力を強化することに繋がったという経験が共有されました。また来年のG7広島サミットに向けても、市民社会ならではの人びとの心に届くアクションを続けていきたい、市民社会が連携することの意義を伝えていきたいとの想いが表明されました。
  • 関西NGO協議会・栗田佳典事務局長によるビデオメッセージでは、地域の市民社会にとって、G7首脳会合が遠い存在になっていることが指摘されました。自分たちが取り組む課題が世界と繋がっていること、自分たちの声を首脳会合に届けることができることを伝え、来年行われるG7サミットを自分ごとにしてもらうべく、大阪で開催される貿易大臣会合に合わせてイベントを開催する予定であることが共有されました。
  • 来年のL7(Labor 7)を運営する日本労働組合総連合会・総合国際政策局齋藤亮局長から、2023年4月6日から7日にかけて東京で開催される日本L7に向けた意気込みと、L7での主要議題についてご説明いただきました。
  • 2023年のB7(Business 7)を担当する日本経済団体連合会・国際協力本部森田様からは、経済活動を推進する上では平和が大前提であり、ロシアのウクライナ侵略に対しB7として断固たる対応を行っていくこと、ならびにB7として自由で開かれた国際経済秩序の再構築に取り組んでいることをご共有いただきました。
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同日午後には、世界銀行東京事務所米山泰揚駐日特別代表と面会し、C7プロセスや他エンゲージメントグループとの連携状況、世界銀行の活動などについて幅広く意見交換を行いました。

11月24日夕方には、環境省を訪問し、山田美樹環境副大臣と面会しました。エジプトで開催されたCOP27の結果も踏まえ、エネルギー危機・温室効果ガス削減、適応策・損失と損害への対処・生物多様性保全といった環境に関するテーマや、ドイツC7によるG7への提言プロセス・経験など、幅広く意見交換を行いました。山田副大臣からは「市民社会組織の役割を認識している。ただしドイツに比べると、日本の市民社会組織のエンパワーメントが不足しているのではないか。まずはその理解を広げることが重要だと感じている。」旨のコメントをいただきました。

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翌25日には、国際協力機構(JICA)国内事業部と非公式の面会を行いました。主に気候変動・経済分野におけるJICAの取り組みをご紹介いただき、ドイツC7メンバーから開発課題に対する質問が寄せられました。

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*いずれも面会時には感染対策を実施し、撮影時のみマスクを外しています。