関西NGO協議会のウェブサイトに市民社会による貿易大臣会合サイドイベントの開催報告が掲載されていますので、ご紹介します。
■イベントの背景
10月28日、29日 大阪・堺にてG7貿易大臣会合が開催されることが決まったことにより、大阪・関西の市民社会として貿易大臣会合に向けて、何かできないかと意見を持ちより、まずは関心を寄せていただくためのキックオフイベントを4月に、さらに9月には貿易大臣会合の主要論点について学ぶ勉強会を実施しました。それらの機会を通じて、貿易大臣会合というどこか遠い言葉に感じる会合ですが、話し合われるテーマは、食料・農業・デジタルなど私たちの生活とも関わりが深いテーマとなっていることを知り、貿易大臣会合における主要論点について、市民社会からのメッセージを発信するイベントを開催しました。
■実施内容
当イベントでは関西を中心に市民社会から19名の参加をいただき、共催団体とともに実施しました。
第一部では、知的財産権と医療アクセス問題についてをテーマに、コロナ禍で改めて明らかになった世界での医療アクセスの格差と、公平な医療アクセスを求めた世界の市民社会の動きを伝える映画『新型コロナが映すいのちの格差』の上映しました。
上映後は、「新型コロナに対する公正な医療アクセスをすべての人に!」連絡会の事務局を務めるアフリカ日本協議会共同代表の稲場雅紀さんと、同映像を再作したアジア太平洋資料センター(PARC)共同代表 内田聖子さんが登壇し、解説、対談、参加者との意見交換が行われました。
映像が制作された後には、コロナは「国際的な公衆衛生上の緊急事態」が解除されたました。その後この問題はどう変化しているのか、最新の情報とともに解説をいただきました。
参加者からは
・知的財産権は様々なものに関わっており、私たちの生活とも大きく関わっていることや保健の問題は貿易ともつながりが深く、貿易の問題は命の関わる問題でもあることに関する理解が深まった。
・すべての人に校正で公平ないのちの権利を確保するために、コロナでの人類の学びを今後どう活かしていけるのか、ルール作りに目を光らせ、行動を続けたいと感じた。
・命に関わる知的財産権は、「共存のために共有していく」ことが大切。
・コロナワクチンをめぐる南北対立に関して自分がコロナ禍にそのような対立が起こっていたことをうっすらとしか認識していなかったので、今日で大きく知見を広げることができました。
などの感想が寄せられた。
第二部では、新型コロナウイルスの拡大、さらにウクライナでの戦争の影響による食料品の値上がりなど、私たちの生活にも大きな影響を与え関心も高まる食料に関する課題。製造業の国際分業的なグローバル・バリュー・チェーン(GVC)や企業内貿易の増加、タックスヘイブンなど、今どきの「貿易」が変質している実態をAMネット理事/京都橘大学経済学部准教授の平賀緑さんに解説いただき、構造的に食料に関する課題について理解を深めました。
さらには、内田さんに再度登壇いただき、食料・農業における課題点などを解説いただきました。
参加者からは
・日本の農業にかける予算が少ない(他の予算に比べて変化をしていない)ことが初めてわかった。
・タックスヘイブンについて初めて知ることができた。
・日本の農政についてはパッチワークが多すぎるように思われる。国会議員のレベルアップが不可欠。もっと勉強してほしい。
・利害関係により経済・資本のシステムが肥大化、変質し、ゆがみ、化け物となっている。それが保健、公衆衛生、食、保健、金融、貿易、他のあらゆるシステムに影響されている状態。全体像の解像度があがりました。
第三部では、参加者との感想共有とそれぞれの提言として、2つのセッションに参加した参加者それぞれが考える貿易大臣会合への提言や自身の今後の行動宣言を紙に書き、発表、発信を行いました。
・無駄撲滅からの転換 伝統農業の保持 人権尊重!
・気候変動に対応できる貿易を議論してほしい。
・食育基本法で平和に
・地球市民という視点を忘れないで
・パンデミック条約をつくってほしい
・経済の基本原則を変える!
・環境的、社会的、健康的なコストをすべて正しく計上して欲しい
・まともに働けばまともに生きられる経済に
・公正な医薬品アクセスについて議論を市、せめてパンデミック時の知的財産権の免除に合意して欲しい
・薬や食べ物が安心で安全に誰にでも届く世界になるよう知的財産も含めた貿易の在り方を話してほしい!
・G7では 国家も大事だが、地球市民を救うという理念で議論して! 決してこれ以上分断を助長するようメッセージにならないように!
・パンデミック条約 改めてWTOでの議論を!
・歪みなき公正のための分権化、民主化
・貿易のことをもっと考える!
共催:関西NGO協議会、大阪ボランティア協会、エコネット近畿、泉北のまちと暮らしを考える財団、KANSAI-SDGs市民アジェンダ運営委員会、アジア太平洋資料センター(PARC)、アフリカ日本協議会、AMネット、G7市民社会コアリション2023、C7公正な経済への移行WG