【活動報告】小野啓一・新G7シェルパに市民社会からの要望を伝えました

G7広島サミットで首相に代わって議題の調整を行う「シェルパ」と呼ばれる役職を務める外務省の小野啓一・外務審議官(経済)との面会が実現しました

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2022年9月22日(木)、G7広島サミットで首相に代わって議題の調整を行う「シェルパ」と呼ばれる役職を務める外務省の小野啓一・外務審議官(経済)と「G7市民社会コアリション2023」関係者との面会が実現しました。小野外務審議官は8月に就任し、前任の鈴木浩シェルパから引き継いで、広島G7サミットの準備にあたります。

市民社会からは、

  1. 「G7市民社会コアリション2023(以下、コアリション)」には現時点で86団体、23名の個人が会員として参加しており、幅広い日本の市民社会が活動していること。
  2. 2023年のC7ではG7各国からだけでなく、世界中からの市民社会組織が参加予定であること。
  3. 2022年5月にドイツで開催されたC7サミットでは、C7からショルツ首相にコミュニケ(政策提言書)を手渡した。来年日本でも、岸田首相にコミュニケを手渡したいと考えている。2019年にC20サミットを開催した際には、首相の予定が合わずC7側が首相官邸へ出向きコミュニケを手渡した。来年は、首相にC7サミットの場に出向いてほしいこと。
  4. 2022年にドイツで開催された政府側キックオフ会議では、エンゲージメントグループとの対話の場が確保された。2023年の広島サミットに係るキックオフ会議にも、ぜひ各エンゲージメントグループの代表を招いてほしい。また、C7側キックオフ会合には、G7シェルパにも登壇してほしい。
  5. 2023年のシェルパ会合に、各エンゲージメントグループの代表が参加できるようにしてほしい。

という点を伝えました。

これに対し、小野外務審議官からは、

  • サミットの議題について詳細を述べるのには時期が早すぎる。ただし、現在の国際情勢を踏まえつつ、G7諸国が取り組む課題の「流れ」の中に広島サミットを位置づけていく方針である。
  • 例えば昨年、イギリス・コーンウォールでのG7サミットでは、新型コロナウイルス感染症の話題に加え、イギリスでCOPが開催されたことから気候変動が扱われた。今年のドイツ・エルマウサミットでは、ドイツ側は当初想定していなかったかもしれないが、ロシアによるウクライナ危機が、すべてのセッションの底流に置かれることとなった。このように、国際情勢を受けて主要議題が変わることはあるが、今までの「流れ」は受け継いでいく。
  • ウクライナの問題は、2023年の広島サミットまでにロシアが攻撃を止め、撤退したとしても、その後の対応を含め主要課題となる見通し。特に、食糧問題、エネルギー、経済安全保障(サプライチェーン・テクノロジー・重要資源・重要鉱物等)、核軍縮不拡散等が扱われる可能性がある。
  • シェルパや首相の参加については日程調整が必要なため、追って調整する。キックオフ会議に関しては、来年日本でその開催をするかどうか自体が未定。

と回答しました。

また、小野外務審議官は、

  • 今の時点から、C7や市民社会が考えていることを知り、意を強くした。G7広島サミットの主要議題やロジスティクスはこれから準備を本格化するところだが、本日もらった意見を踏まえて考えていきたい。
  • 地球規模課題審議官を務めていた際の経験から、グローバルな課題のほとんどは、市民社会と共に取り組まなければならないものだと実感している。
  • 2021年12月に開催した東京栄養サミット2021では、アジェンダ作成をはじめ企画に私自身携わっていた。サミットはオンライン開催となったが、アジェンダ作成やパネリスト選定などの準備は市民社会と共同で行った。その際にも、「市民社会組織なくして対応できない」、「市民社会の声が大切だ」と感じた。特に、サミットの中身だけでなく、市民社会がそれをどう受け止め発信していくのかが重要であると痛感した。もっとも、オンライン開催だからこそ、首脳級のサミットを市民社会と一緒に作り上げていくことができた部分もあったかと思う。いずれにせよ、市民社会との協働から学ぶところが大きかった。
  • 来年に向けた準備でも、ぜひ市民社会と一緒にやっていきたい考え。

と述べました。

来年1月に日本のC7プロセスが始まるにあたり、G7市民社会コアリションとして、シェルパをはじめとする日本政府との連携も強化していきます。

 

当日の出席者は以下の通りです。

 

外務省側:

  外務審議官(経済) 小野啓一(G7シェルパ)

 

NGO側:

  G7市民社会コアリション2023 共同代表、World Vision Japan 事務局長 木内真理子

  国際協力NGOセンター(JANIC) 理事、THINK Lobby 所長 若林秀樹

  国際協力NGOセンター(JANIC) シニアアドボカシーオフィサー、THINK Lobby 副所長 堀内葵

  SDGs市民社会ネットワーク 事務局 老松京香

  「環境・持続社会」研究センター(JACSES) 事務局次長 遠藤理紗

  ピースボート 畠山澄子

 

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*左から、老松京香、若林秀樹、木内真理子、小野啓一外務審議官、遠藤理紗、堀内葵、畠山澄子

*面会時には感染対策を実施し、撮影時のみマスクを外しています。