2022年10月27日(木)、「G7市民社会コアリション2023」(以下、コアリション)の会員を対象とした勉強会「C7 2023への引き継ぎ」をオンラインで開催しました。本勉強会は、2022年のC7を担当したドイツの市民社会から、2023年のC7を担当する日本の市民社会への引き継ぎの一環として行われました。全体司会はVENROのSophie Knabner氏が務め、90名を超える方々にご出席いただきました。
(イベントの様子)
開会挨拶では、初めにドイツC7事務局を務めたVENROのAnke Kurat氏から、本勉強会の開催をVENROとして嬉しく思うとの発言がありました。また今年のドイツC7は、ロシアのウクライナ侵攻により途中で状況が大幅に変わってしまったことについて言及がありました。さらに、来年のインドC20が政府主導のプロセスになってしまうことを危惧しており、C7とC20との協働が重要になってくるとコメントされました。
次に、Jürgen Maier氏(German NGO Forum on Environment and Development 事務局長)からの挨拶では、C7がロシアで始まってからの歴史的経緯の説明ののち、近年、C7に対する批判的な意見が減少していることについて述べられました。
最後に日本側の挨拶として、木内真理子・G7市民社会コアリション2023共同代表、ワールド・ビジョン・ジャパン事務局長から、本勉強会の3つの目的、すなわち、相互理解を深めること、次のステップに向けた協議を行うこと、お互いに刺激を与えること、が示されました。また、9月に小野外務審議官と面会した際、G7の成功には、C7を初めとするエンゲージメントグループとの協働が欠かせないと伝えられたことも報告されました。厳しい世界情勢の中で市民社会が有する役割は非常に重要であり、今日が市民社会間の協働に向けて良いスタートとなることを願っていると発言がありました。
続いて、堀内葵・国際協力NGOセンター(JANIC)シニア・アドボカシー・オフィサーより、「G7市民社会コアリション」が2022年に行ってきた活動について、また2023年1月以降の流れについての説明がありました。
続いて、VENROのMoritz Böttcher氏から、今年のドイツC7の構造・プロセスの説明や教訓についての説明がありました。冒頭、ドイツC7の目標は「C7のプロセスをより国際的にすること」および「C7の構造を新たに構築すること」であったことが共有されました。続いて、ドイツ政府によるG7アジェンダの発表が遅れたことや、ロシアのウクライナ侵攻によりG7の優先議題が変化したことなど、ドイツC7が直面した困難についても詳しく説明されました。ドイツC7からの教訓としては、「C7の国際化を推し進めるべきこと」ならびに「早期に準備を開始し、時間を効果的に使うこと」の2点が挙げられました。
最後に、コアリション事務局を務めるSDGs市民社会ネットワークの老松京香より、来年開催される日本C7に向けた準備状況の説明、および2023年の閣僚会合開催地一覧の共有がありました。
また、ドイツC7へに投げかけた質問とその回答は以下の通りです。
Q1:C7運営委員会(Steering Committee)のメンバーになるための基準は何か?
A1:運営委員会のメンバー選出は、出身国や性別、専門とするテーマなどに多様性が出るようにしているという意味で、一定の選出基準が設けられている。職務内容を記した書類を共有できる。
Q2:今年の運営委員会メンバーは来年も継続することを望んでいるか?
A2:次回の運営委員会にて、現メンバーに継続希望をヒアリングすることが可能。継続性は担保しつつ、同時に新たな視点を取り入れる工夫が必要だと考える。
Q3:今年と同様のWGが設置される場合、現在の国際コーディネーターは継続するか?
A3:本人に継続希望を尋ねる必要があるが、日本からの国内コーディネーターは選出すべき。コーディネーター選出についての書類も日本側と共有する。
Q4:政府との対話・連携のチャネルにはどのようなものがあったか?
A4:G7の優先議題と同一テーマのWGをC7に設置することが重要。ただし、G7の優先議題に付け加える形で新たなWGを設置する場合、その数はあまり多すぎないほうが良い。G7は市民社会がカバーできる範囲以上のトピックを扱うため、C7では自分たちの優先事項に集中したテーマ・WG設定にすべき。
Q5:ドイツ政府からのC7に対する支援にはどのようなものがあったか?
A5:VENROおよびGerman NGO Forum on Environment and Developmenが、政府からC7の正式な実施主体として任命された。政府からの資金提供があり、WGの運営や能力開発のワークショップなどを開催することができた。
最後に、VENROのSophie Knabner氏によるファシリテーションのもと、これまでの発表内容を踏まえた意見交換や質疑応答が行われました。
【意見(抜粋)】
- C7とC20がより深く協力する方法(情報共有の方法等)を模索する必要がある。来年の日本C7、インドC20に向けた市民社会スペースの確保が急務である。
- 経済危機が深化する現在、他のテーマにも影響を及ぼしかねない「経済」というテーマについて、C7でも考えるべきである。
- C7サミットの評価方法(C7がG7へどの程度の影響をもたらしたか等)についても考えていきたい。
- 市民社会側での日本C7に向けた準備を加速すべきである。
【質疑応答(抜粋)】
- 分野横断的な課題(例:ジェンダー平等)について、ドイツC7ではどのように扱われたのか?→分野横断的な課題は、各ワーキンググループで扱うこととした。
- 来年の日本C7について、遠隔(オンライン)でのサミット参加や障害者のサミット参加は確保されるのか?
→全ての参加者のアクセシビリティを確保することに重きを置いており、本日の勉強会でも日英同時通訳や文字起こしが利用可能。来年対面での会合を持つ際には、手話や同時通訳を用意する。
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お問い合わせは共同事務局までお寄せください。
特定非営利活動法人 国際協力NGOセンター janic-advocacy [@] janic.org(堀内)
一般社団法人 SDGs市民社会ネットワーク g7-2023 [@] sdgs-japan.net(老松)